高知県視覚障害者の就労を促進する会
ニューステキスト版 No7

2008年6月27日発行
【事務局長】 片岡慈仲 高知市上町4−10−3   (電話088−875-6452) 
【情宣担当】 藤原義朗 高知市上本宮町239−38 (電話088−840-0834)
 URL  http://k-sokushin.net/


1.第8回街頭宣伝に261筆
 6月1日(日)に、第8回目の街頭宣伝署名行動を高知市のグリーンロードと日曜
市前で行ない、261筆の署名と810円のカンパをいただきました。「障害者採用
って言ってるのに点字が無いなんておかしい」「このニュースも視覚障害の人がパソ
コンで作ったんだって」など声が聴かれました。尚、行動参加者は視覚障害者や青年
の方々など12名でした。これで、署名数は知事宛は9千筆、高知市長宛は8千6百
筆を超えました。
★次は須崎市で! 今まで街頭行動は高知市中心でした。6月28日(土)に初めて
高知市外に出ます。午後1時〜2時まで、スーパーゆたか前で行動します。ご協力い
ただける方は、情宣担当藤原までご連絡をお願いいたします。

2.視覚障害を持つ医療従事者の会「 ゆいまーる」発足
 6月8日、視覚障害を持つ医師7名、理学療法士4名が東京に集まり、視覚障害を
持つ医療従事者の会「ゆいまーる」が発足しました。藤原も出席してきました。
5年前に欠格条項をなくす運動の中で国家試験制度も緩和され、医師国家試験におい
ても、点字受験や口頭試験でも行なわれ、全盲の医師も誕生しています。
このような中、中途で視覚障害になる医師の存在も把握し発足の運びとなりました。
視覚障害を持ち医療従事者として働く中で多くの困難やバリアーに直面します。その
事に対する情報交換や社会への働きかけを目的としています。 医師以外の医療従事
者の方々も対象にしていますが、三療関係については組織の力量のこともあり対象に
しておりません。もし、視覚障害を持つ医療従事者の方をご存知でしたら「ゆいまー
る」のこと、藤原の連絡先をお伝えいただけれは幸いです。

3.雇用連情報に就労促進する会の記事
 全国視覚障害者雇用促進連絡会の会報「雇用連情報第54号」に、就労を促進する
会の呼びかけ人の一人でもある正岡光雄さんの投稿記事が掲載されます。公務員試験
における点字受験、そして、年齢制限を39歳まで引き上げる高知の闘いを、昨年1
0月のシンポジウムの開催、パソコンデモンストレーションから始まり、今年2月の
就労を促進する会の結成、その後の議会活動や署名行動などについてまとめて紹介し
ています。
8月には、全国視覚障害者雇用促進連絡会のホームページにもUPされる予定です(
http://www.koyouren.npo-jp.net/)。当会のホームページからもアクセスできます


4.働く視覚障害者マイクで直撃インタビュー (聞き手 藤原義朗) 
今回は、横浜市中央図書館で働いておられる川上正信さんに、東京高田の馬場の喫茶
店でお会いしお話を伺いました。川上さんは、1952年生まれで現在は全盲、ご家
族は奥様と3人の子どもさんがおられます。

Q 点字受験はどのように始まったんですか。
A 神奈川県の視覚障害者の雇用を進める会や全日本視力障害者協議会の運動で、「
点字受験を求める」請願運動が起きました。その頃は、のちに社会党の委員長になら
れた飛鳥田さんが横浜市長をされていたんです。飛鳥田さんご自身も足に障害がある
方なんですね。市長さんからも「パイオニアとして頑張って」と、お言葉を頂き、労
働組合のバックアップもあり畳み掛けの行動で一般就労に際しての点字受験が始まり
ました。
Q 1種2種ありますが。
A 大学は福祉学科でした。上級試験福祉職でしたね。入ったのは当時できたばかり
の図書館で、それ以降ずっと図書館関係で仕事をしています。その後、横浜市の障害
者雇用率は4パーセントに上げましたね。
Q 具体的に仕事内容を教えてください。
A 録音点字の本の貸し出し、来館困難な障害のある人への郵送貸し出し、録音図書
を作る音訳者の確保、新着図書案内音訳者の養成研修、デージー図書というカセット
がなくなった後の新たなデジタル録音環境を身につける為の業務など行っています。
Q 視覚障害者を雇うことによって、新たに始まったことはありますか。
A 私が入ったときは、何もない。一から始めたんですよ。在宅での視覚障害のある
人に対してプライベートサービス、いわゆる委託音訳など、いろいろ障害者サービス
を提案もしてきました。最初は理解されずに苦労もしましたよ。しかし、市民からの
提案なども後押しして進んできました。また、図書館協力者の人たちとの仲立ちもし
ています。
Q 視覚障害者の就労のポイントはなんだと思いますか。
A 仕事ができることといったら能力と意欲、サポート体制、パソコンなど機器類の
保障じゃあないでしょうか。
 
さすが草分けの人ならではのお話しでした。特に、視覚障害者を雇うことによって新
たな障害者へのサービスが広がり、無縁だった図書館がぐっと近くなった話が印象に
残りました。
川上さんは、なごや会という公共図書館で働く視覚障害者職員の会の会長をされてい
ます。川上さんから、視覚障害者の情報保障へのほとばしる情熱を感じました。ぜひ
、高知にお招きしてお話を聴かせていただきたい方だと思いました。

5.働く視覚障害者電話インタビュー(パート3)(聞き手 吉岡邦廣)
 今回は、大阪市こども青少年局でお勤めの岸本慶子さんに電話取材させていただき
ました。岸本さんは先天性の全盲の方で、今年採用となられたばかりの方です。

問: 岸本さんが受けられた試験の試験場所や時間等についてお聞かせ
下さい。
答: 他の4人の視覚障害の方と一緒に、別室受験しました。試験時間は通常試験の
1.5倍で、教養試験が3時間、論文・専門試験が3.5時間でした。
問: 通常試験の1.5倍というのは長くありませんでしたか。
答: 私にはちょうどいい時間の長さでした。教養試験はぎりぎり間に合わせました
が、論文・専門試験はそれなりの余裕を持って受験することができました。
問: 他にどのような障害の方が受験されていましたか。
答: 4人が一緒に面接試験を受けたのですが、私を含めて視覚障害者が2人、後は
手話通訳者を連れられた聴覚障害の方と介助犬をつれられた方がいました。
問: 今年から大阪府で認められることになりましたが、音声パソコンでの受験はど
うわれますか。
答: 点字の読み書きがあまり速くないために受験できなかった人たちが受験できる
ようになるので、よいことだと思います。
問: 具体的にどのようなお仕事をされていますか。
答: まだ自分専用のパソコンを準備してもらえていないので、今は発送作業の手伝
いをしたり、会議の準備や後片付けなどの雑用をしています。
問: 職場でのサポートは何かしてもらっていますか。
答: アルバイトの職員に、私のサポートもしてもらってい   ます。しかし、直
接私にではなく、周囲の職員がアルバイトの人ごしに仕事を頼むことがあり困ってい
ます。
問: 最後に岸本さんがこれからやってみたいことをお聞かせください。  
答: 相談等で視覚障害者のリハビリに関わる仕事がしたいです。あとは、障害児の
放課後や休日等の学校以外の時間の充実の手伝いをする仕事がしたいです。
問: ありがとうございました。

6.メールアドレスとホームページ
 本会のメールアドレスができました。ご意見やご要望ご相談などありましたらお寄
せください。info@k-sokushin.net
なお、本会のホームページは、 http://k-sokushin.net/ です。
就労促進ニュースのワード版とテキストファイル版の第1号〜第6号までや、障害者
の就労に関する資料などが掲載されています。ぜひ、アクセスしてください。

7.大阪府職員採用試験の点字受験での音声の併用について
 受験者等説明(概要版)

@ 音声の併用…大阪府職員採用試験(大学卒程度、高校卒程度及び社会人採用の行
政A及び行政B)の点字受験の際に音声を併用することができる。
A 音声を併用できる者…人事委員会から点字による受験を認められた者であって、
音声の併用を希望するもの。(点字による受験を認める者は、[墨字による出題に対
応できない 者で、申込時に点字受験を希望したもの]である。墨字による出題に対
応できないかどうかは、人事委員会が個別に判断する。)
B 音声の併用の方法…択一式及び記述式の問題集は、「点字版」と「テキストファ
イル版」を提示する。受験者は、テキストファイル版の問題集を音声パソコン(スク
リーン リーダーをインストールしたパソコン)を用いて読み上げることができる。
スクリーンリーダーの設定等により誤読等が生じることがあるが、各受験者が使用す
る音声パソコンで問題集を正確に読み上げることを保障するものではない。解答の作
成は、音声パソコンに入力することにより行う。
C 使用機器等…パソコン、スクリーンリーダーその他の受験に必要な機器は、すべ
て受験者が用意する。使用可能なスクリーンリーダーは、PC-Talker XP 95 Reader
ver 6.0 JAWS for Windows Ver.7.1のいずれかとする。
D その他…音声パソコンは、問題集の読み上げ、解答の作成及び解答に必要なメモ
の作成に限り使用できる。辞書機能、翻訳機能、電卓機能等の使用や、解答を導くた
めの不正な情報の閲覧など、公正な試験の実施を阻害する行為を禁止する。試験中に
当該行為があった場合は失格とする。

8.スクラップブックより

○6月24日付け高知新聞 夕刊

見出し「質問戦詳報」

 「障害者雇用」高木妙氏が、視覚障害者の職員採用試験実施を強く求めた。
 岡崎誠也市長は「実施には課題が多い」としながらも「障害のある人が働ける社会
環境の整備は行政の大切な役割」と強調。県が平成二十一年度から点字による採用試
験を検討している状況を踏まえ、「県と協議しながら具体案を詰めていきたい」と答
えた。
 「はり・きゅう治療助成」後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に伴い七十五歳以
上が市独自助成の適用外になったことを受け、高木氏が新たな助成制度を要望した。
 岡崎市長は、市議会全会派による助成要望を「高齢者の声を代弁していると重く受
け止める」と答弁。「実施に向けて検討したい」と述べた。


○6月12日付け高知新聞の「声ひろば」
見出し「視覚障害者就労へ 新たな光と期待」

 高知大学卒業生で視覚障害の青年(在学中に中途失明)が、卒業後、大阪のライト
ハウスで視覚障害に必要なさまざまな技術を身に付けて帰郷し、就労を目
指して努力している姿が本紙で紹介されたことがある。その時にも思ったが、視覚障
害者の就職には難しい点が多い。
 本県では、県や高知市の職員採用試験に点字受験が認められていなかったため、有
能で意欲や夢にあふれた多数の視覚障害者が、受験の機会すら持つことが
できていなかった。
 全国的には、既に二十二の都道府県で認められて実施されている中、本県でも三月
の県議会、高知市議会で点字受験や年齢制限の緩和を求める請願書が採択
されたことは画期的なことで、関係者の努力に敬意をはらいたい。
 もし、ヘレン・ケラーが日本に生まれていたら、限られた視覚障害者の伝統的な職
域にとどまっていただろうという言葉を思い出す。障害者がその能力を最
大限に発揮でき、多様な可能性に挑戦できる社会の実現は、誰もが存在を尊重され、
誇りを持って生きていける社会だと思う。
 今回の採択を受けて、県や高知市は、重度視覚障害者の雇用に伴う現実的な課題に
ついて検討中と思われる。初めての取り組みに際し、たくさんの壁もある
だろうが、先進県での試験方法、サポート体制などを参考にし、実現するための工夫
を切に期待したい。
  【田村昌子=63歳・元障害児学校教員、高知市長浜】
就労を促進する会ニュース No.7 2008年6月27日発行

【事務局長】 片岡慈仲 高知



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