2008年7月27日発行
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【事務局長】 片岡慈仲 高知市上町4−10−3(電話088−875-6452)
【情宣担当】 藤原義朗 高知市上本宮町239−38(電話088−840-0834)
1.県議会で点字受験の補正予算が可決
県議会7月定例会で、7月22日に点字受験の一般会計補正予算が可決成立しまし
た。
また、受験年齢上限も29歳から34歳まで上がることになりました。
これらの成果も高知県民、また、全国の視覚障害のある皆さまからのご協力のおか
げです。ありがとうございました。
今年11月末にも知事部局の身体障害者枠による点字受験が行なわれる予定です。
今後、「視覚障害者の就労に関する」署名行動は高知市長宛に絞って行ないます。
署名用紙はホームページからダウンロードもできます。また事務局までご請求いた
だければ発送させていただきます。
これからもご協力よろしくお願いいたします。
県議会での決定に関する報道は3・4面のスクラップブックコーナーをご参照くださ
い。
2.県議会で可決までの経緯
2/10 高知県視覚障害者の就労を促進する会結成総会と記念講演会(110名)
。
・高知県と高知市に対して、普通字と点字の署名行動始まる。
・点字と普通字を併記した点字受験を求める要請ハガキ行動開始。
3/3 高知県議会に請願書提出。障害者団体や労働組合ボランティア組織など
14団体。
/12 高知県知事に署名簿提出(第1次分)と懇談。
署名数2606筆(内、点字62筆)。
/12 高知県議会総務委員会で吉岡会長、意見陳述。
/19 高知県議会本会議で請願採択。
4/23 知事に署名簿第2次分提出5591筆(内点字19筆)累計8197筆
7/16 県議会7月定例会総務委員会で点字受験に関する一般会計補正予算通過
/17 知事に署名簿第3次分提出(1547筆)累計9744筆
/22 県議会本会議で可決成立。
3.街頭宣伝署名行動の報告と予定
9回目の行動派6月28日に須崎市スーパー「ゆたか」前で行ない、小雨の降るな
か、県と市、合わせて96筆を集めました。参加者は15名でした。
10回目の行動は、7月13日《日》に行ない、県と市合わせて324筆集めまし
た。参加者は12名でした。
第11回目の行動は、8月2日(土)午後に5時より高知市グリーンロードで行な
います。
4. 2007年度高知県職員労働組合「ふれあい基金」より助成
上記の助成金を高知県視覚障害者の就労を促進する会が助成金20万円を受けるこ
とになりました。
今後、記念講演会や学習会の開催、取材や資料の作成、ニュースや記念誌の発行な
ど行なう予定です。大切に使わせていただきます。ありがとうございました。
なお、7月18日に行なわれた県職員労働組合定期大会での助成式典に、吉岡会長
が出席しあいさつを述べさせていただきました。
5.働く視覚障害者インタビューD
聞き手 吉岡邦広
今回は、京都府立図書館にお勤めの仁科豪士さんにお話を伺いました。仁科さんは
京都府で初めて点字試験が実施された1990年に合格されました。17年間京都府で働か
れているベテランの職員さんです。
問:府立図書館でどのようなお仕事をされていますか。
答:大まかに言えば、3点あります。一つは対面朗読を希望される方とボランティア
の方との間での調整の仕事です。後は図書館が購入したデイジー図書等のお知らせ文
書の作成やホームページの管理です。
問:府立図書館の前は、どのような部署でお仕事をされていましたか。
答:まず、2週間の新採研修の後、7ヶ月間ほど所沢の国立身体障害者リハビリテー
ションセンターでAOK(音声ワープロ)やVDM(パソコン画面読み上げソフト)
等の操作の研修を受けました。その後京都府に戻り、総務調整課文書係で勤めました
。ここでは、視覚障害者の方から提出のあった点字の議会請願書や申請書等をを普通
字に直したり、逆に視覚障害者の方へのお知らせの文書を点訳する仕事をしました。
会議の日取りの調整、提出資料の準備、案内文を出すといった細々した仕事もやりま
した。
総務調整課の後は、中小企業総合センターの経営課調査係に人事異動しました。主
に中小企業を対象に無料相談会を実施し、必要があればコンサルタントを紹介するの
が仕事でした。あと、セミナーを企画し、報告書を残すという仕事もやっていました
。
問:サポート体制はありますか。
答:僕は職場介助者をつけてもらっています。普通字の読み書きのサポート等をして
もらっています。中小企業支援センターで働いているときは、調査のために業界の方
に話を聞きに行く際のサポートもしてもらいました。
問:機器はどのようなものを使用されていますか。
答:スクリーンリーダーやピンディスプレイ(パソコン画面を点字表示する機器)、
点字プリンター等を揃えています。出張申請や休暇願いを入力するための独自開発ソ
フトを使うときは、JAWS(就労支援に特化したスクリーンリーダー)を使用して
います。
問:視覚障害者が働く上で、どのようなことがポイントになると思いますか。
答:ハードウェアと人的なソフトウェアの充実です。それから、視覚障害者のご本人
と職場とで「どのような仕事ができるか」を考えていくことが大事だと思います。
問:どうもありがとうございました。
今回1時間を超える電話取材に応じてくださった仁科さんは、ベテランとしての経
験がにじみ出る大変落ち着いた方でした。
6.働く視覚障害者インタビューE
聞き手 藤原義朗
今まで、一般職や図書館などで働く公務員の方々にインタビューしてきましたが、
今回はパソコンをフル活用して民間企業で働いておられる福永智洋さんに大阪藤井寺
市の喫茶店でお会いしました。
Q 年齢とご家族、視力は?
A 43歳で、家族は視覚障害である妻と子どもが2人です。強度の弱視で視覚障害
2級です。熊本の盲学校卒業で日本福祉大学の社会福祉学科を卒業し、日本ライトハ
ウスの職業訓練など経てきました。
Q現在はどんなお仕事ですか?
A 京セラ三田という複写機やスキャナー、ファックスプリンターなど情報処理機器
製造業の品質保証という仕事をしています。
品質保証といってもメンテナンスなどのサービスは販売会社がするので、その人たち
へ情報を提供したり、上がってくる情報の仕分けなどを行なっています。つまり、販
売会社と協力して顧客満足度を上げていく仕事です。
Q パソコンをどのようにして使っていますか?
A 一人に一台パソコンがあり、ジョーズとい文字情報やグラフィックの
アイコンなども読みあげる画面読み上げソフト、ズームテキストといって画面を大き
く拡大するソフトを使って仕事をしています。
厚生労働省の設備設置等助成金という3分の1の補助をしていただける制度を利用
してもらいました。イントラネットで社内報も読むことができます。
Q 雇用率は達成していますか?
A 率は知りませんが、私が応募したときは会社の再建中で障害者を雇用しなければ
ならないという社会的立場にあったときだと思います。
Qやはり、障害者雇用の機運を高める運動が必要ですね。最後に、企業で働く上での
スタンスは?
A 仕事は何でもやりますよという姿勢が大切ではないでしょうか。そして、できな
いことも言っておくことが必要です。以前、製品のユニバーサルデザインのプロジェ
クトがあったとき、関わらせていただいたんですが、チャンスを逃さないようにする
ことが大切ではないですかね。
福永さんと話をして、パソコンが大切なツールであることと働く姿勢について学ば
させていただきました。
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スクラップブックより
毎日新聞 08.7.8付
県職員採用で視覚障害者らの要望を受け
点字試験11月にも導入
29歳の上限年齢を34歳に引き上げ
県内の視覚障害者らが県に要望していた職員採用の点字試験が11月にも実施され
る見込みとなった。県人事委員会が試験導入のための経費を補正予算案に計上し、7
月県議会に提案しており、議決されれば、知事部局で募集する身体障害者向けの採用
試験に点字試験が組み込まれる。 【服部陽】
点字試験は「重度の視覚障害者の仕事を見いだせない」として、これまで実施され
てこなかった。視覚障害者らでつくる「県視覚障害者の就労を促進する会」(吉岡邦
広会長)は2月県議会で、点字試験導入と受験年齢の引き上げを請願し、採択された
。
これを受け、県人事課は、既に点字試験を実施している7都道府県に直接出向いて
調査。加えて、県知事部局で想定できる仕事として、会議録の作成や各種データの収
集などの仕事をピックアップ。「通常の事務に従事できる」(同課)と考え、点字試
験の実施と、29歳だった上限年齢を34歳に引き上げるよう人事委員会に要請して
いた。
人事委員会が補正予算案に計上したのは、試験を点字に変える費用など135万5
000円。身体障害者向けの試験は、昨年は9月に実施したが、点字化に向けた作業
に時間がかかるため今年は2ヶ月程度遅くなる見通し。
「県視覚障害者の就労を促進する会」の吉岡会長は「これまで門前払いだったので
試験実施は画期的なことで、運動が実った。一般就労したい障害者の励みになる」と
喜んでいる。
高知新聞7月15日付
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県 職員採用試験で点字試験
県視覚障害者団体「要望30年で朗報」
11月にも実施
県は、来春の職員採用試験から重度の視覚障害者にも門戸を開く。開会中の県議会
七月定例会に提出している関連予算案が認められれば、十一月にも事務職
採用では初の点字試験が実施される見通し。障害者団体は「要望を始めて約三十年。
勇気づけられる朗報だ」と喜んでいる。
県はこれまで、「配置できる業務が見いだせていない」として重度の視覚障害者の
採用を見送ってきた。
しかし、今年三月、「県視覚障害者の就労を促進する会」(吉岡邦広会長)が門戸
開放を求める請願を県議会に提出、全会一致で採択された。県はその際の
説明で既に二十一都道府県が点字試験を導入し、重度の自覚障害者が電話交換や点訳
などに従事している状況を挙げ、採用への条件整備を急ぐ考えを示してい
た。
県は四月以降、先進七都道府県に職員を派遣し、庁内で視覚障害者が従事できる業
務を洗い出し。電話による相談やデータ収集、議事録作成やホームページ
管理などの業務で従事可能と判断した。
県議会に提案している予算は、試験や募集要項の点字化に必要な費用で百三十五万
五千円。
さらに県は、身体障害者対象試験の受験上限年齢も、本年度から上級試験に三十四
歳までの枠を新設したことに倣い、二十九歳から三十四歳に引き上げ。昨
年の試験日は九月だったが、県人事委員会は今年は十一月で調整している。
県教委、県警は「職務内容が見いだせない」として重度視覚障害者の事務職採用は
当面見送る方向だが、知事事務局は「今年は身体障害者枠のみだが、二十
一年度からは上級試験などでも点字試験導入を検討したい」(人事課)としている。
(浜田佳奈)
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しんぶん 赤旗 7月24日付
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高知県職員採用
点字での試験実施へ
視覚障害者の願い実現へー。高知県議会は二十二日、点字による県職員採用試験を
実施するための予算などを含んだ補正予算を可決しました。これをうけ
て、県は十一月に身体障害者枠の試験で、点字による試験を、年齢制限も従来の二十
九歳から三十四歳に引き上げておこないます。
点字による公務員試験は、長年の視覚障害者の要求でした。視力障害者団体などは
県や高知市に実施を求めていましたが、「就労の場がない」と見送られて
きました。
二月に、県や高知市の採用試験を点字で受験できるように求めて「県視覚障害者の
就労を促進する会」(吉岡邦広会長)が結成され署名活動を展開してきま
した。県議会と高知市議会は「視覚障害者の採用に関する」請願をそれぞれ全会一致
で採択していました。
県は請願採択が採択されたことで、すでに点字による採用試験をしている先進県を
調査したうえで、実施を決めました。点字試験はすでに二十二都道府県実
施しており、全盲の人が事務職などに就いています。
全日本視覚障害者協議会の正岡光雄会長は「視覚障害者に受験の機会をつくったこ
とは画期的なこと」と語っています。
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朝日新聞 08.6.28付
「ひと」
視覚障害のある医療従事者ネットワークの代表
守田 稔(もりた みのる)さん(32)
「それぞれ先の見えない道を歩いてきた。けれど、いくつもの道が交われば、きっ
と何かが見えてくる」
今月8日、「視覚障害をもつ医療従事者の会『ゆいまーる』」が、東京で設立され
た。メンバーは医師7人と理学療法士4人。その代表に選ばれた。
ゆいまーるは助け合いを意味する沖縄の言葉だ。
内科医の父にあこがれ、関西医科大に進む。なのに5年生の時、神経系の病気「ギラ
ン・バレー症候群」と診断された。自力で呼吸できず、生死の境をさまよった。2年
後復学したが、手足の自由を失い、視力も悪化。教科書が読めなくなった。
でも卓球部の仲間が車椅子を押して授業や実習に付き添ってくれた。
家族は総出で教科書をテープに吹き込んだ。400本を超える。トイレの中でも聞いた
。
03年、最初の受験で国家試験に合格した。大阪府守口市にある母校の病院の精神神
経科に勤務する。専門は性同一性障害。対話を中心に診断する。「障害がある医師と
して、体と心の性が一致しない人の『生きにくさ』に寄り添いたいんです」。障害が
もどかしくて落ち込むこともある。そんなときは列車に乗って走行車や車内放送を聞
く。鉄道好きだ。仲間たちは最新の医学雑誌が読めないなど同じ壁と向き合う。会の
当面の課題は医学情報の電子データ化。そうすれば音声出力や点字印刷が可能になる
。壁は一つずつ、知識を出し合って乗り越えていく。文・清水卓史 写真・日吉健吾
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その他
7月23日付の朝日新聞に点字
受験実現の記事、7月16日付の高知新聞にゆいまーる結成の、記事が掲載されてい
ます。