就労を促進する会ニュース
【事務局長】 片岡慈忠 高知市上町4−10−3 (電話 088−875−6452)
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2008年8月30日発行
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1.高知市副市長と懇談
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月14日、会員5人で、吉岡章副市長にお会いし、10314筆の署名を手渡してきました。
まず最初に吉岡副市長からは「今は点字試験実施のためのスタッフの確保が問題となっている」とのご発言がありました。しかし、1時間の話し合いの中で、「平成21年の実施に向けて準備している」、「年齢制限の緩和についても積極的に検討している」との旨の前向きなご発言もいただきました。
また、私たちが調査した点字試験の実施方法についてや「視覚障害者にも分かりやすいホームページは高齢者にとっても分かりやすいホームページである」といったホームページのユニバーサルデザインについての私たちの発言も、メモを取りながら、非常に熱心に聴いてくださっていました。具体的にどのような仕事を行うかという点についても、「県外の市町村を参考にするだけでなく、高知市独自の働き方もしっかりと検討してほしい」とお願いすることができました。
副市長に署名簿を渡す 吉岡会長
2.署名行動の報告と予定
@第11回街頭宣伝署名行動
8月2日に帯屋町のグリーンロードで高知市長あての点字受験を求める署名行動とニュース8号の配布を行ないました。126筆、カンパ3400円 尚、参加者は高知県視力障害者の生活と権利を守る会会員を中心に10名でした。
A署名到達数
視覚障害者の就労に関わる請願署名
高知市長あて 10435筆(8月29日現在) 内 10314筆提出済み
高知県知事あて 10134筆(8月29日現在) 内 9744筆提出済み
B今後の街頭宣伝行動予定
点字印刷の様子
9月13日(土)午後2時よりひろめ市場前で
市長あて署名行動、9月23日の記念講演会の宣伝ビラ配布行動をします。
高知市長あて署名は、点字試験が実現するまで行ないます。署名用紙はホームページからもダウンロードできます。また、情報宣伝担当までご連絡いただければ送付させていただきます。よろしくおねがいいたします。
3.働く視覚障害者インタビューF (聞き手 吉岡邦広)
千葉県県庁の総合企画部広報報道課にお勤めの佐々木康裕さんに職場でお話をうかがってきました。佐々木さんは全盲の視覚障害の方で、10年間同課で働かれています。
問:佐々木さんは点字受験されたのですか。
答:はい。盲学校卒業後に進学した麗澤大学4回生のときに、障害者枠で受験しました。
問:今までどのようなお仕事をされてきましたか。
答:採用後6年間は、電話で県民の皆さんのご意見やご質問をうかがう広聴という仕事をしました。今は、県庁内に配布する広報広聴マニュアルの作成、更新の主担当を任されています。あと、県庁内には広報広聴推進委員会という委員会があり、この委員会の事務も行っていますね。日常的には、いかにマスコミ報道されたかをチェックしてデータベース作りをしています。
問:点字文書作成の仕事はされていないのですか。
答:視覚障害の方に情報をお伝えする仕事に取り組みたいです。
具体的には音声化ソフトを使用してホームページを閲覧する方にとっても、分かりやすいホームページを作る仕事生活に必要な情報などをいかに普通字のお知らせとタイムラグなく点字化するかといったことに取り組みたいです。
問:視覚障害者が働く上で何が必要だと考えていらっしゃいますか。
答:文書事務をするためにはパソコンの技術が必要です。あと、表記方法や文書のレイアウト等の、パソコンで普通字の読み書きをするための知識も必要だと思います。
問:どうもありがとうございました。
★佐々木さんは実直な方で、「周囲の人たちも仕事ぶりを評価している」と副課長さんもおっしゃっていました。今後ますますご活躍されることを期待します。
4.働く視覚障害者インタビューG (聞き手 井上奈美子)
東京都都立中央図書館にお勤めの田中章治さんにお話をうかがってきました。
大学卒業後、田中さんは、約2年間函館の視覚障害センターで理療科の教官をなさっていらっしゃいました。しかし、一般就労への想いの強い田中さんや大学の恩師、日本盲大学生会の働きかけで東京都は、福祉専門職の採用試験において点字試験を実施することを決めました。1973年に初めて行われ
都立中央図書館
た点字試験で採用となり、定年まで中央図書館でお勤めになられましたが、今も田中さんは、週4日勤務されています。
問:通勤はどうされていますか。
答:僕は今、埼玉県に住んでいます。東京には、地下鉄で片道1時間かけて盲導犬と一緒に通勤しています。
問:若いころのご苦労をお聞かせください。
答:なんでも質問したり、忙しいときに質問していては一緒に働く職員に嫌がられるので、人間関係に気を配りました。ただ、職場で任される2,3の仕事だけするということではいけないので、自分はこういった仕事ができるということは積極的に提案しました。
問:どのようなお仕事をされていますか。
答:大まかに言えば、5つあります。1つは、読む本の分野に合わせて最適な音訳者を手配する等の音訳者と対面朗読希望者との間での調整です。2つ目は音訳者の選考とオリエンテーションの実施、3つ目は出来上がった録音図書と点字図書のチェックです。4つ目は音訳、点訳上のアドバイスです。専門書の図表等の音訳、点訳は視覚障害者でなければ適切なアドバイスができないので、これは重要な仕事です。5つ目は、出来上がった点字図書や録音図書にラベルを貼ったりする仕事です。
あと、区立、市立図書館の対面朗読サービスに対するアドバイスも大切な仕事です。日常的には中学生や高校生の職場実習の指導、電話応対などもしています。
★視覚障害者の一般就労の先駆者である田中さんは穏やかで、優しげな方です。ご自身のできる仕事を積極的に提案しながらも、ともに働く人への気配りを大切にされていることを強く感じました。
4.県点字試験実現記念講演会のお知らせ
今年2月に高知県視覚障害者の就労を促進する会を結成して半年がすぎました。
この間、多くの県民の皆さまのご支援により、高知県では知事部局において点字による採用試験を行なうことになりました。これを記念して、全国の就労状況を学び、今後の活動の方向性を決めていく講演会&総会を行ないます。ご参加の程よろしくお願いいたします。
日時 2008年9月23日(祝) 13時〜16時
場所 県民文化ホール4階多目的室(旧高知市中央公民館)
主な内容
○記念講演会
テーマ「視覚障害者の一般就労の事例、課題、歴史について」
おかげさまで実りました
講師:田中章二氏(全国視覚障害者雇用促進連絡会会長、全日本視覚障害者協議会副会長、東京都立中央図書館情報サービス課視覚障害者サービス係主任)
このニュース3Pのインタビュー記事の方です。
○高知県視覚障害者の就労を促進する会の活動報告
○特別総会(規約、今後の活動方針を決めていきます。)
5.訪問レポート「トライアングル西千葉」
千葉県千葉市にある障害者作業所を、鈴木信一所長の案内のもと見学して来ました。
「トライアングル西千葉」では、年間3000時間程度のテープ起しの仕事を引き受けています。それでも作業所の運営は厳しいとのお話でしたが、現在は4人で仕事を分担しており、そのうち3人が視覚障害の方です。
「トライアングル西千葉」のロゴマーク
昨今では講演会や会議がICレコーダー等でデジタル録音されるようになりました。当日は、そのデータをパソコン上で再生するための「おこしやす」というソフトを見せて頂きました。再生時に何秒間か自動的に巻き戻して再生を始めるなどテープ起しに最適なソフトです。
また、話し言葉を文章に直す際には、専門的な技術や国語力も必要となるため、日本速記協会の方を招いて勉強会も開いているそうです。
続いて、就労補助具として、名刺管理ソフトと電話の通話を録音することができるイヤホンの2つを紹介して頂きました。名刺管理ソフトは専用のスキャナでパソコンにデータを取り込み、音声化ソフトを使って名刺を読むことができます。また通話内容を録音できるイヤホンは、瞬時に点字でメモを取ることが困難な方にとっては、たいへん便利な機器です。
「トライアングル西千葉」では、パソコン指導と求職、復職活動のサポートも行っています。パソコン指導事業は市からの委託事業で行っており、午前は授業、午後は自習というスケジュールで、3ヶ月間、ワード、エクセル、パワーポイントを指導するそうです。
パソコンに関する技術は、視覚障害者にとって就労に欠かせない技術になって来ています。また、補助具や具体的な就労事例等の就職活動に必要な情報は少なく、個人では入手が困難です。今後、高知県、高知市にも、視覚障害者がパソコン技術の習得から就職活動までの一連のサポートを一貫して受けられる、このような拠点が必要だと強く感じました。
(レポーター 吉岡邦広)