就労を促進する会ニュース
【事務局長】 片岡慈仲 高知市上町4−10−3(電話088−875−6452)
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【編集担当】 吉岡邦廣 高知市枡形9−
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2009年1月17日発行
No.12
1.高知市、点字試験来年度実施を目標に
県とともに市にも求めてきた点字試験実施ですが、ついに高知市執行部からも具体的な発言が聞かれました。12月12日の市議会定例会で点字試験実施のスケジュールについて高木妙公明党議員から個人質問が出され、岡崎市長からは来年度実施を目標にする旨の答弁がありました。請願書採択以降も「検討する」等のあいまいな発言が続いていましたが、公的な場で市長から来年度実施という具体的な発言が出た以上、期待は持てそうです。またさらに議会での市長答弁に続き、来年度実施を目標とする旨の市長、人事委員会の発表が相次いでNHK、民放のニュースで流されてもいます。
県の実現に続き、市での実施も間もなくとなりました。皆さん、後一押しのご協力をなにとぞよろしくお願い致します。
2.県職員選考試験結果報告 (報告 吉岡 邦廣)
12
月
22
日、身体障害者を対象にした県職員選考試験の1次選考の結果発表があり、選考に残った10名が県庁入り口、ホームページ等で発表されました。当日は結果を一緒に見届けようと、数名の方が県庁入り口掲示板に集まってくださいましたが、その中に私の受験番号は見つかりませんでした。
皆さんの当会へのご支援のおかげで、今回初の点字試験実施となり、私が受験第
1
号となりました。初の受験者ということもあり、たくさんの方が期待をして下さいましたが、その期待にお答えすることができず、残念かつ力不足を悔しく思います。課題はどれだけ点字を速く読めるかです。一朝一夕に点字は習得できませんが、まだスタートに立ったばかりです。今年は合格できるよう、全力で受験勉強に挑みます。応援いただいた皆さん、どうもありがとうございました。
3.第15回街頭署名活動を行いました
12月6日に行った就労を促進する会の高知市長に対する第15回街頭宣伝署名行動は9名の参加で79筆の署名が集まりました。「皆さん寒いでしょ」といって、ホカホカあんかの差し入れがありました。
4.現在までの署名到達数報告
1月13日現在の視覚障害者の就労に関わる請願書の署名到達を報告いたします。
高知県知事宛 10266筆(内9774筆提出済み)
高知市長宛 10912筆(内10314筆提出済み)
点字試験実現を持ちまして、県知事宛署名は終えさせていただきました。本当にありがとうございました。もしお手持ちの署名がありましたらお届けいただければ幸いです。
なお、12月議会で「来年度実施を目標にする」との市長答弁がありましたが、正式な点字試験実施の発表が出るまで、市長宛の署名活動は継続させて頂きます。署名用紙がお入用な方はご連絡下さい。高知市での点字試験実施もあと少しのところまで来ています。ご協力の程をよろしくお願い致します。
5.2008年を振り返って
12月29日ささやかな忘年会を行い、ざっくばらんに1年間を総括しました。その一部をご紹介します。
吉岡君が合格できなかったのは残念だったが、吉岡君の受験と県で点字試験が実現したことは分けて考えなければならない。後に続く人たちにとってもすばらしい成果だった。大金星だ。
会を結成して1年もかからずに県で試験が実施されたことはすばらしい。今回様々な団体や人たちの支援があったが、30年に及ぶ活動の蓄積があってこそだと思う。吉岡君が導火線になった。
点字試験が実現したのは、視覚障害者だけでなく、ボランティアや労働組合、他障害の人達の広い支援があったからだ。また、粘り強くきちんと議会や行政に働きかけた結果、私達の正当な訴えが実現したことをとてもうれしく思う。
試験方法には課題がある。点字受験の際の1
.
5倍という延長時間は、なんとなく標準になった根拠のない数値。研究者によると2倍は必要なようだ。
予想以上に早く県の点字試験が実現したので、今年は準備不足で受験できなかった人達がいるかもしれない。来年は受験希望者が増えればいい。また、音声パソコン併用も認めてもらいたい。
2月に会を結成した当初の2週間に1回という街頭署名、ニュース発行のペースはつらかったが、おかげで実りのある一年になった。
6.愛媛県で活動報告しました
1月11日松山で行われた民視協(愛媛県民主視覚障害者協会)との交流学習会で高知の活動を報告してきました。当会を結成し、県職員選考試験で点字試験が実施され、高知市でも先月市長から「来年度実施を目標に」という具体的な発言が聞かれたことを報告しました。高知の参加者からも積極的な発言があり、労働組合やボランティア、他障害の団体、議会会派から各々の立場を越えての惜しみない支援があったこと、教育委員会の門戸も開きたいといった意見が出されました。とくに盲学校でも一般就労を希望する学生にきちんと向き合った教育を進めてほしいという意見が記憶に残りましたが、最も関心を集めた話題は試験のあり方についてでした。問題用紙は何十ページあったか、図や表はどのように出題されたかといった質問が出され、公正な試験のあり方に次々意見が出されました。
7.点字毎日インタビュー記事より (吉岡 邦廣)
中途視覚障害者にとって点字を墨字(普通字)のようにすらすら読むことは難しいものです。果たして1
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5倍の時間延長は妥当なのでしょうか。音声パソコンで試験問題を読むことができれば墨字受験者との差はもっと小さくなるのではないでしょうか。今回の県点字試験を受験する中で、私も公正な試験について考えさせられました。そこで平成19年8月19日付、点字毎日(毎日新聞社発行)の取材記事より藤芳衛さんを紹介したいと思います。
藤芳さんは独立行政法人大学入試センター研究開発部で試験のUD(ユニバーサルデザイン)を目指し、センター試験の点字試験を研究されています。以前に在籍していた東京教育大学からの長年の調査研究を基に英語問題は1
.
7倍前後、国語、社会科問題では2
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4倍程の時間延長が必要と述べています。文章量が多いほど、必要な時間延長の度合いは高くなるそうです。
またフォーマットについても研究していらっしゃり、通常の1行あたり32マスを40マスに増やすべきと述べられています。これは複数行にまたがり理解しづらい点字数式等を少しでも分かりやすくする対策と想像します。
批准の準備が進む障害者権利条約では公正な試験への配慮が明文化されていますが、藤芳さんは試験のUDは結果を自ら負わなければいけない当事者責任であるとおっしゃっています。しかしその一方で、大学全入時代のために点字試験を避けて推薦入試の行われる大学を受験する学生が増えている現状を憂えて、可能性に向けて自分を高めていってほしいと語っているのが印象的でした。
公務員試験をはじめ大学入試や資格試験など、可能性に挑むとき試験は避けられません。公正に実力が判断され試験に及第して就職、就学してこその社会参加であることを考えると、公正な試験の実現は私達が考える以上に重要な問題なのではないでしょうか。
8.第16回街頭署名活動へのご参加を
第16回街頭宣伝署名行動を、2月1日(日)午後1時より2時までひろめ市場前で、行ないます。皆さま、寒い時期ですがご協力お願いいたします。
2008年12月4日付 毎日新聞 地方版より
9.スクラップブックより
高知新聞 「声 ひろば」より
他、12月13日付高知新聞社会面にて高木議員の個人質問が掲載されました。