高知県視覚障害者の就労を促進する会
ニューステキスト版 No13

2009年5月31日発行
URL   http://k-sokushin.net/
【事務局長】 片岡慈仲 高知市上町4−10−3(電話088−875−6452)     
【編集担当】 吉岡邦廣 高知市枡形9−11

                           
1 第17回街頭署名活動へのご協力を
 第17回街頭署名活動を6月7日(日)13時から14時まで、グリーンロードにて行います。梅雨入り間近となりましたが、ご協力頂ける方はどうぞよろしくお願い致します。

2 活動報告集を発行しました
 高知県職員労働組合より助成して頂いた「ふれあい基金」を基に結成以降の活動報告集、『ついに実現 念願の点字試験』を発行しました。資料として県・市議会議事録、障害者権利条約抜粋も掲載してあります。
 印刷、製本作業は、会員を中心に約20人の方々が協力して下さり、デイジー録音版90部、点字版90部、墨字版250部を発行しました。デイジーCDの発送に当たっては日本郵便事業株式会社より第4種特殊郵便発受指定の認可を受けました。

3 上級行政試験でも点字受験が認められました
 身体障害者枠に続き、上級行政試験をはじめとする他の採用区分でも点字試験が拡大されることが、県議会3月定例会で決定しました。早速今年度から上級行政試験(行政・TOSA以外)で実施されます(21年度受付は終了)。詳しくは高知県人事委員会の以下のページから試験案内をご覧下さい。 http://www.pref.kochi.lg.jp/~jinjiiin/keikaku.htm

4 高知市、点字試験実施予算確保
 市議会3月定例会で今年度高知市予算として点字試験実施のための経費が確保されました。まだ高知市からの公式な発表はありませんが、今年度実施を見据えての予算確保です。高知市における点字試験の実施ももう少しです。お手元に署名等がありましたら、事務局までどうぞよろしくお願い致します。

5 第15、16回街頭署名活動を行いました。
 2月1日、3月8日、ひろめ市場前にて第15回、16回街頭署名活動を行い、高知市長に点字による職員採用試験の実施を求めました。
 第15回街頭署名活動には10名にご参加頂き、84筆、250円の署名、カンパを頂きました。商店街の方からは、「寒いのに大変ですね。風邪ひかないように頑張ってくださいね」など、声をかけていただきました。
 第16回街頭宣伝署名行動は10名の参加で、158筆、カンパ6825円でした。
「土佐のおきゃく」の関係や「国際女性デー」のパレードなどもあり、多くの署名が集りました。 また、県外の方も多く署名してくれました。
「県も高知市もコネによる就職が多いからね」など問題を語ってくれる人もありました。

 ご協力頂いた皆様、どうもありがとうございました。

6 反貧困シンポジウムに参加しました(報告 吉岡 邦廣)
 雨宮処凛さんを招いて、4月5日にRKCホールで開かれた反貧困シンポジウムに、シンポジストとして参加しました。反貧困ネットワーク主催で、社会の生きづらさをテーマに開かれたこのシンポには300人近い方が集まり、いくら頑張っても就労のチャンスさえ与えられないつらさを訴えてきました。シンポに続いての雨宮さんと尾崎知事の対談では、知事が私達の活動について触れる場面も見られました。
 また、当日は高知市での点字試験実施を求める署名への協力も呼びかけさせて頂き、50人を越える方から署名を頂きました。ご協力頂いた皆さん、どうもありがとうございました。

7 職業訓練実施に向けたパソコンデモを実施しました
 高知県での視覚障害者職業訓練の実施に向けて、4月10日、南部健康福祉センターで、委託先候補の民間教育機関の理解を深めてもらう目的でパソコンデモを行いました。県障害者就労支援チームの呼びかけで集まって頂いた22人の参加者を前に、音声読み上げソフト、画面拡大ソフトを用いてのパソコン操作のデモを行い、デモ後は実際にパソコンにも触れてもらいました。 視覚障害者向けソフトを初めてご覧になる方が多く、「アルファベットの大文字、小文字の違いは分かるのか」等の質問が盛んになされました。「Excel指導の際、表のイメージをどのように伝えたらよいか」といった指導上の質問も聞かれ、有意義な会となりました。

8 働く視覚障害者インタビューJ 講演・懇親会編 (報告 吉岡 邦廣)
 今回は5月10日に高知市市民図書館で開かれたバリアフリー出版についての講演のために来高された松井進さんにお話をうかがいました。松井さんは千葉県で初めて点字の公務員試験で一般行政職として採用された方で、現在は千葉県立中央図書館で障害者サービス担当のお仕事をされています。バリアフリー出版以外にも、盲導犬についての著書を執筆されるなど、多方面でご活躍中の方です。講演会とその後の懇親会で貴重なお話をして下さいました。
 まず、講演会では千葉県庁で働いている視覚障害者の仕事、職場でご自身の仕事を築いてきた体験をお話してくださいました。
 現在千葉県では、県税事務所、保健所をはじめいくつもの職場で視覚障害者が働いているそうです。役所には起案書作成の仕事がたくさんあり、PCの音声化ソフトが進歩している昨今では視覚障害者がやれる仕事はたくさんあるはずと松井さんはおっしゃいます。
 しかし、松井さんご自身も入庁投書は自分の仕事を一から築くのにたいへんご苦労をされました。コピー用紙やボールペン等の消耗品の管理といった小さな仕事から始め、少しずつ自分の仕事を増やしてきたそうです。その甲斐あって、「今は仕事が終わらないということはあっても、仕事がないということはあり得ませんが」と苦笑されていました。
 講演後の懇親会では仕事をしていく上で重要なこと、就労、採用試験上の課題が参加者から質問されました。
 松井さんは人脈作りを、仕事をしていく上で心がけていらっしゃるそうです。この人がいなければ仕事が進まない、そうなることが理想だそうです。日本点字図書館、盲人情報文化センターと高知システム開発を仲介して、マイブック(視覚障害者用読書ソフト)の開発に一役買うなど仕事以外でも人脈が役立っているようです。
 就労、試験上の課題として松井さんが挙げるのが、学歴です。視覚障害者も修士、博士の学歴を収める必要がありますが、文献等の情報入手の困難さから大学院で学ぶのは容易ではありません。「働きながら私も勉強したいのですが、時間的に難しいですね」と残念そうでした。
 松井さんは頭の回転の速い、明るい方でした。視覚障害者雇用の先進地、千葉ならではのお話をたくさんうかがうことができましたが、「視覚障害者にやってもらえる仕事が見つからないのは当たり前。仕事はつくっていかなければならない」と繰り返されていたのが印象的でした。障害者雇用の基本は、その人にあわせた仕事をつくることにあるのだと再確認しました。盲導犬とともに今後一層ご活躍されることを期待します。

9 09年度会費納入のお願い
 昨年度は多くのご支援を頂き、本当にありがとうございました。皆様から頂いた会費、寄付金を基に、ニュース発行、県外での聞き取り調査をはじめ、精力的な活動をたくさん行うことができました。 今年度もどうぞよろしくお願い致します。
個人会員一口500円、団体会員一口3000円です。郵貯銀行での振込みをしていただける方は口座番号1132043、高知県視覚障害者の就労を促進する会までお願い致します。

10 スクラップブックより
【障害者雇用】公的機関は率先して
 障害者が社会で自立して生活していくにはそれぞれの能力を生かせる就労の場が必要だ。そうした場を不当に制限されないよう障害者雇用促進法は各職場の法定雇用率を定めている。
 その障害者雇用の法定率を達成していないとして、厚生労働省が本県など三十七都道県の教育委員会に対して、各教委が定めた採用計画を適正に実施するよう勧告を出した。
 都道府県教委の法定率は2・0%だが、二〇〇八年末の本県教育委員会の雇用率は1・72%であり、法定率達成には十五人の雇用が不足していた。
 本県ではほかにも津野町、中土佐町、四万十町、県・高知市病院企業団、四万十町教委の五公的機関に対して、法定雇用率(2・1%)が未達成だったため、高知労働局から勧告が出されている。
 県教委の場合、〇五年六月時点では雇用率0・87%だったことを考えれば事態は大きく改善されたと言っていいだろう。しかし、それでもなお法定率を下回っているのが実情だ。さらなる努力が求められる。
 教員免許を持つ者が限られているという事情も影響していよう。しかし、県教委は障害がある子どもたちの自立と社会参加に向けて特別支援教育を推進する立場だ。率先して雇用を実現していくのが責務である。免許の必要のない事務部門などでさらに工夫をこらしてほしい。
 県は昨年、身体障害者を対象とした初級一般事務で点字試験を初めて導入した。〇九年度には上級試験(行政)にも点字試験を拡大する方針だ。全国に比べて取り組みの遅れは否めないが、県や他の公的機関が模範として前向きに取り組むことが、民間企業での障害者雇用の底上げにもつながる。
 障害者雇用を義務や社会的責任として認識することは大事なことだが、そこで欠かしてならないのは「共生」という視点だろう。
 求人を出している職場でも車いすに対応していなかったり、通院のための休みが取りづらければ、障害者が働きやすい環境とは言えない。
 障害者の目線で仕事を見直せば、専門職が一般職の業務まで抱え込んでいたり、特定の職場に仕事が偏っていたりすることなどが見えてくるのではないか。不況で経営環境は厳しいが、企業には「共生」の視点で「職」を生み出す努力をしてもらいたい。
(3月30日付高知新聞『社説』より)



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