高知県視覚障害者の就労を促進する会
ニューステキスト版 No17

2010年11月3日発行
URL   http://k-sokushin.net/
【事務局長】 片岡慈仲 高知市上町4−10−3(電話088−875−6452) 
【編集担当】 吉岡邦廣 高知市枡形9−11


1 ゆいまーる(視覚に障害を持つ医療従事者の会)講演会のご案内
 11月20日(土)14:30〜16:00、高知市南部障害者福祉センターにてゆいまーるの講演会が開かれます。副代表の佐藤正純先生が視覚、高次脳機能、歩行に障害を負ってからリハビリを経て、社会復帰に至るまでの道のりを話して下さいます。講演後は視覚障害者の職業相談会も開かれますので、ぜひご参加を。

2 県職員採用試験で来年度から音声パソコン導入
 8月19日、高知県視力障害者の生活と権利を守る会は県人事委員会職員課と表題の件に付いて昨年に引き続き話し合いを行いました。
 県人事委員会は、私たちの要望に基づき、既に採用試験に音声パソコンを導入している大阪府を調査の上、来年度の身体障害者枠の職員採用試験において、点字ともに音声パソコンの使用も認めることを表明しました。その具体的方法、たとえば、問題を音声パソコンで提供するか、デジタル化したCDの形にするかなどに付いては私たちの意見も聞きながら決定するとのことです。また、あくまでも点字が主で音声パソコンは点字と併用する補助的なものであることを強調していました。
 来年度、高知県でこれが実現すれば、全国で2番目となります。

3 平成22年度 県職員等採用試験受験報告(報告 吉岡 邦廣)
 10月3日に高知女子大学で行われた「身体障害者を対象とした高知県職員等採用選考試験」の1次選考に今年も合格することができました。応援してくださっていた皆さん、どうもありがとうございました。
 今年は音訳ボランティアさんの協力に加え、教師をされていた方を中心に点訳ボランティアさんがチームを組んで参考書の点訳にあたってくださり、十分点字で問題を解く練習ができました。点訳、音訳された参考書はまだまだ少ないため、本当に貴重なご支援をいただきました。問題を解くのに時間がかかりすぎるためやはり英語、古文、空間・図形把握の問題はパスしましたが、回答できる問題にはしっかりと取り組むことができました。
 最終選考は1次の筆記試験と2次の面接試験の合計得点で行われるのですが、昨年一昨年と3回受験した筆記試験の中で、今年が一番手応えがあったように思います。応援、ご支援を本当にありがとうございました。よい報告ができるよう、11月6日の面接試験も頑張ります。

4 高知県でも視覚障害者向けパソコン職業訓練が始まりました(報告 吉岡 邦廣)
 開講に向け皆さんのご協力を頂いていた視覚障害者対象のパソコン職業訓練が、11月1日から桟橋通のサポートぴあにて始まりました。月曜日から木曜日までの10時から15時にかけて行われ、12月28日まで開講予定です。
 アンケート等で募った求職活動中の3人の希望者が、
10月5日に行われた国語力、計算力、キーボード入力の適性検査を受け、受講することとなりました。データ化したテキストをもとに、読み上げソフトのPC-Talkerを使用してWord、Excel、インターネット、テープ起しの授業が2ヶ月間行われます。まだ始まったばかりですが、マンツーマン形式が基本なので、各人のペース、技術に応じて、しっかりと受講できるのではないかと思います。なお、弱視の方も受講されています。
 第1回となる今回は実験的開講の意味合いが強いようですが、ビジネス文書の作成や会議、講演等の文章起こしといった仕事で即役立つ知識、技術をたくさん学べるように頑張って受講したいと思います。

5 アビリンピック(障害者技能競技大会)に参加しました(報告 中平 晃)
 今年の高知県でのアビリンピックは8月28日(土)に高知市で行われました。高知での視覚障害者の部門は今年で3回目になります。視覚障害者の参加者は3名でした。
 今年の高知での競技は音声ワープロでした。音声の出るパソコンとワープロソフトを用いて課題をクリアします。画面拡大ソフトも使用可能です。
 課題は同窓会の案内を打ち込みレイアウトを整えて提出というものでした。去年と比べると課題の時間的な難易度が少しあがったように感じました。
 私の結果は優良賞でした。来年は優秀賞を目指します。
 アビリンピックに参加することで自分のパソコンスキルを確認できます。また、それを目標にパソコンスキルアップを目指すなど、やる気がでます。来年も夏に開催されると思います。皆で参加しませんか。

6 働く視覚障害者インタビューM 
急がず、焦らず、怠らず  熊谷組の藤田善久さん
 8月の終わり、福岡ヤフードームの喫茶店でお話しを伺いました。藤田さんは最初の子どもさんができた時会社が倒産。次の会社で次男が生まれ、31歳の時仕事中に事故で失明。修羅場を通ってきた36歳の方です。現在NPO法人タートルの理事もされています。藤田さんのリハビリのことは朝日新聞に掲載されていますので、スクラップコーナーを参照してください。
Q どんな会社ですか。
A 熊谷組は大手建設会社でダムやトンネル、超高層ビルなど日本をはじめ、世界中で活躍している会社です。31歳の時鉄パイプが頭に落ちてきて脳挫傷、頭蓋骨骨折、両眼眼球破裂を受けました。
Q 会社に視覚障害者の先輩はおいでましたか。
A かつては女性でおいでたみたいです。人事課の人と東京まで行き、視覚障害者が働いている会社をいくつか見学にいきました。そこで就労中における視覚障害者のパソコン業務を初めて見ました。人事部の人に、障害者の就労を理解していただくには最良の方法だと思いました。
Q リハビリまでどのくらいかかりましたか。
A 被災してから2ヶ月後、転院先の柳川リハビリテーション病院の高橋先生にお会いできたことが大きかったです。眼科医、訓練施設、労働関連、企業の連携がなければ復職就労はありえないと思います。
Q 仕事の内容は。
A 契約業務を電子システム上でおこなう電子商取引というものを主にやっています。画面音声化ソフトはJAWSを使っており、契約件数の取りまとめ、測量機の発注など行なっています。
Q 仕事の理念としていることを教えてください
A 急がず、焦らず、怠らずの3つです。それから、業務に対していろんなやり方があり、できる可能性があると思いますので、個人や会社の中で悩まずに、情報収集をおこなうようにしています。また、可能性を見つけるべく、個人と会社にとって視覚障害者の就労状況を見学することは必須だと感じています。

NPO法人 タートル
 視覚障害者が視力低下によって就労が難しくなりはじめたとき、同じ体験をした者が継続就労について親身になって相談を受けて支援します。また、眼科医、訓練施設、労使団体、行政など関係機関と連携して視覚障害者が安心して働ける環境作りを目指しています。

7 ATMから会費納入してくださる方へ(会計担当 町田 浩子)
 就労の会への会費の振込みができない、わからないとの問い合わせが多いと聞きまして、分かる範囲で調べてきました。なお、端末機の種類によって同じ銀行でも多少操作の順序が違うことがあるそうです。
☆ゆうちょ銀行のATMからの場合
最初の画面で、「ご送金」を選ぶ→ゆうちょ銀行口座へのご送金」→案内→次へ→通帳またはカードをいれる→(暗証番号)→「店名」(ここで「ロ」(ろ)を選ぶ)→六四八(ろくよんはち)を選ぶ→就労の会の口座番号(1132043)を入力
☆四国銀行のATMからの場合
お振込み→振込みの注意書き→振込先入力→大手銀行一覧→「次」→「普通銀行」→「ユ」→ゆうちょ銀行→「ロ」(ろ)→六四八(ろくよんはち)→就労の会の口座番号を入力
(高知銀行も四国銀行とほぼ同様ですが、最初に出る銀行の一覧の次のページで、「銀行」を選びます。普通銀行という表示がありません)

8 スクラップブックより
再び仕事を 2
「自分にもできる」
パソコンを特訓
 事故によるけがのため両目の視力を失った福岡県の建設会社員、藤田善久さん(36)は2004年から、柳川リハビリテーション病院(柳川市)でリハビリを始めた。
 まず、白杖の使い方を教わった。
 歩行訓練士と週1回練習した。3階の病室から壁をつたって階段を下り、広いロビーに出ると、白杖を肩幅くらいに左右に振る。食堂や浴場への往復など、10回以上練習した。
 訓練士に助けてもらいながら初めて売店まで行けた日。アイスクリームを買った。本当はビールを飲みたかったが、売っていなかった。それでもウキウキした気分になった。
 点字の訓練も始まった。点字は六つの点の組み合わせで表す。母音はすぐ覚えたが、子音で苦労した。指先で読み取る時とタイプで打つ時では、点の配置が裏表反対になる。まったく違う2種類の字を習うようだったが、「やればできる」と手応えを感じた。
 そんな藤田さんを見て、眼科の高橋広医師(59)=現・北九州市立総合療育センター眼科部長=は「いい笑顔をするようになった」とひと安心した。
 05年春に義眼を入れた。藤田さんは、職場復帰を目指してパソコンなどの訓練を受けるため、5月には国立福岡視力障害センター(福岡市)に移った。高橋医師の勧めで、会社の上司と一緒に、視覚に障害がある男性が働く会社の見学に東京まで出かけた。
 男性は、インターネットで必要な情報を検索して社内の関係部署に知らせたり、会議の録音テープを聞いて議事録を作ったりしていた。使用していた音声ソフトの読み上げ速度は、当時、藤田さんが訓練で使っているものよりも格段に速かった。
 藤田さんは驚いたが、「この人にできるなら、自分にもできる」と自分を励ました。
 当初は5ヶ月の予定だったセンターでの訓練をさらに5ヶ月延長し、06年春からは、視覚障害者を支援する社会福祉法人、日本ライトハウス(大阪市)で訓練を続けた。
 他の訓練生に比べ、パソコンの経験が浅く、最初は授業についていくのがやっとだった。数日前に習った操作をやってみるよう言われても、すぐには思い出せない。悔しくて、授業を録音して夜に聞き直し、何度も同じ操作を繰り返し、覚えた。
 講師から、「よく復習していますね」と言われるのを励みに、頑張った。
(2010/01/20 朝日新聞)
(2010/01/20 朝日新聞)



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