高知県視覚障害者の就労を促進する会
ニューステキスト版 No20

2011年5月3日発行
 事務局長 片岡慈仲 高知市上町4−10−3(電話088−875−6452)
 編集担当 藤原義朗 高知市上本宮町239−38 
 URL http://k-sokushin.net/
発行 高知県視覚障害者の就労を促進する会

1.点字試験で合格された脇水哲郎さん、高知市に入庁


 この春、高知県に吉岡邦弘さんの採用と共に、高知市には脇水さんが採用になりま
した。研修のこと、職場でのパソコンのことや課題について書いていただきました。
 本4月より、高知市市役所に入庁いたしました、脇水哲郎と申します。昨秋、高知
市の障害者枠での採用試験を受験し、内定を頂戴しておりましたが、このほど正式な
採用となりましたので改めてご報告申し上げます。
 4月の第一週に新人採用研修を終え、その後、配属部署での仕事がスタートいたし
ました。研修では、他の研修生同様講義形式、集団討議等に参加し、有意義な内容と
なりました。特にスタッフの方々のサポートも頂きましたので、アンケートやレポー
ト等も滞りなく提出し、会場移動に際しても、不自由を感じることは全くありません
でした。配属先では、上司、並びに同僚の方々と密にコミュニケーションを取りなが
ら、業務における必要知識、手順を徐々に習得した上で、部署での役割を果たして行
きたいと考えております。
 実際の業務では、PCの読み上げソフトに全面的に頼りながら進めていくことになり
ますが、市役所内や、部署で共有されている文書など、事前知識として習得しておき
たいものに関しては、ほぼイントラネットの中で見ることが可能ですので、業務の開
始段階でさほどの不便を感じることはありません。ただ、イントラネットの場合には
、中に一部読み上げソフトとの相性が良くない箇所もありますので、その部分につい
ては、周囲の方の助力を得ながら進めていくほかありません。しかしながら、PCのシ
ステム、あるいはテクニカル的な問題は、その後のソフトの改善や、マンパワーを得
られれば済むことですので、それほど大きな問題ではありません。むしろ、現在の部
署内で、自分が業務のどの部分を担っていけるのか、その幅をどう広げていくか、そ
れがもっとも大きな課題になります。その課題の解決には、二つの重要な要素があり
ます。一つには、上司の方にどれだけ仕事を切り出して頂けるかが鍵になります。 
PC上で処理が可能なもの、電話対応出来そうなものなど、考えられる部分は多くあり
ます。ただそれには、自ら常に業務に対する学習意欲を持つことが欠かせません。こ
れが二つ目のポイントです。
 これらのことを踏まえつつ、今後の仕事に繋げて参りたいと考えております。

2.11年度会費納入のお願い


 昨年度は多くのご支援を頂き、本当にありがとうございました。皆様から頂いた会
費、寄付金を基に、ニュース発行、県外での聞き取り調査をはじめ、精力的な活動を
行い、成果を挙げてきました。 今年度もどうぞよろしくお願い致します。
個人会員一口500円、団体会員一口3000円です。郵貯銀行での振込みをしてい
ただける方は口座番号11320431、高知県視覚障害者の就労を促進する会まで
お願い致します。

3.平成23年度高知県職員等採用上級試験案内


 募集要項の中から抜粋して掲載します。詳しくは下記の連絡先またはホームページ
で。点字による要綱もあります。
@受付期間 平成23年5月6日(金)〜5月20日(金)消印有効
A第1次試験日 平成23年6月26日(日) 午前9時 試験開始
 ○第1次試験会場 高知市(高知南高等学校)、東京都(中央大学理工学部)
B点字問題による受験は、「行政」又は「学校事務」に限ります。
C受験資格
(1)年齢要件
 保健師、薬剤師以外 次のいずれかに該当する人
  ・昭和57年4月2日から平成2年4月1日までに生まれた人(学歴不問)
  ・平成2年4月2日以降に生まれた人で、学校教育法による4年生の大学等を卒
業  した人又は平成24年3月31日までに卒業見込みの人
D申込先・問い合わせ先
 高知県人事委員会事務局
 郵便番号780−0850 高知市丸ノ内2丁目4番1号 高知県庁北庁舎3階
 電話番号 088−821−4641
 ホームページ http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/230101/
 携帯サイト http://www.pref.kochi.lg.jp/~jinjiiin/i/i.htm

4.視覚障害者の方を対象として、パソコンの基本操作から就職に必要なIT関係の知識・技能の習得を目標とした職業訓練を実施します。


 ○訓練期間 平成23年10月〜12月と平成24年1月〜3月の(各2ヶ月間)
 ○定員 それぞれ2名
 ○訓練実施校  サポートピア
    高知市桟橋通3丁目10−14 ( TEL:088−837−8277 )
 ○訓練内容 ・パソコンの基本操作  ・Windowsの基本操作 
        ・文書の作成(Word)・表計算の作成(Excel)
        ・インターネットの基礎 ・ビジネスマナーの基本等習得を目指す
 ○技能    Word・Excelの基本操作の習得、FAX送付状や顧客名簿
        作成、メール文書作成等実務能力の習得
 ○費用 ・受講料は無料です(テキスト代は有料)。
      ・訓練実施校までの交通費は自己負担となります。
 ○実施主体 高知県( 問い合わせ先:障害保健福祉課 担当:西森
             TEL 088-823-9560 )

5.障害者雇用助成金リーフレットより


職場介助者の配置または委嘱助成金
○事務的業務に従事する視覚障害者、四肢機能障害者の業務遂行のために必要な職場
介助者の配置または委嘱
・2級以上の視覚障害者
・2級以上の両上肢機能障害及び2級以上の両下肢機能障害を重複する者
・3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による上肢機能障害及び3級以上の乳
幼 児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害を重複する者
※上記の障害者である在宅勤務者 3/4
・配置1人月15万円  ・委嘱1人1回1万円 ・年150万円まで10年間
○事務的業務以外に従事する視覚障害者の業務遂行のために必要な職場介助の委嘱
・委嘱1人1回1万円 ・年24万円まで
B職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金
○事務的業務に従事する視覚障害者、四肢機能障害者の業務遂行のために必要な職場
介助者の配置または委嘱の継続 2 / 3
・配置1人月 13万円 ・委嘱1人 1回9千円 ・年135万円まで5年間
○事務的業務以外に従事する視覚障害者の業務遂行のために必要な職場介助者の委嘱
の継続  ・委嘱1人1回9千円 ・年22万円まで

スクラップブックより


スクラップブックより
4月17日高知新聞


県庁で障害者生き生き  いろんな個性 雇用徐々に

 県内の自治体など、公的機関で働く障害者の数が少しずつ増えている。今春、県の
知事部局では視覚障害者で初めて採用となった全盲の吉岡邦広さん(32)ら重度障
害者2人を含む3人が仲間入り。非常勤職員の障害者雇用も始まり、7人が胸を弾ま
せ働き始めた。障害があってもなくても同じ県職員―。いろんな個性を持つ人が当た
り前にいる職場の風景が県庁でも生まれつつある。 (広末智子)

  * 寄り添う盲導犬  文書情報課 全盲の吉岡さん
 「ストップ。ライト。ゴー」
 耐震工事真っ最中の県庁本庁舎。狭い廊下を吉岡さんが盲導犬のエルマーに声を掛
け、慎重に歩く。配属された文書情報課は1階右奥。点字ブロックなどはなく、通い
始めて間もないにもかかわらず、エルマーはぴたっと同課のドアの前で止まる。
 「割と犬がすぐに覚えて。なんとか2人≠ェかりで一歩一歩という感じですね」
と吉岡さん。机には音声を読み上げるパソコンに点字の電子手帳。県が吉岡さんの入
庁に備えてそろえた。
 人事課によると、吉岡さんの初配属先はパソコン入力の能力の高さなどから決まっ
た。入庁初日、尾武ウ直知事から訓示を受けた後、その内容のテープ起こしを担当。
少し残業もして、土日を挟み月曜日には仕上げた。
 デスクの傍らには、1枚の毛布。その上でエルマーがじっと寄り添う。エルマーに
とってはそれが仕事=B気を抜くことは決してないが、午後5時を過ぎるころには
少しあくびも。1匹の犬がいることで職場に和やかなムードが広がる。
 これまで盲導犬に接したことがなく、吉岡さんの配属が決まって初めて盲導犬につ
いて学習したという中沢純夫課長は「よく目が合って。でも、あまり構ってはいけな
いんですよね」。他の職員も「吉岡さんの視点で仕事に支障になることは目が見える
者にとっても支障になる。これから職場環境が変わっていくと思います」。温かな空
気が吉岡さんの緊張を解きほぐす。

  * 笑顔でてきぱき  保健福祉課 ダウン症の和田さん
 所変わって、障害保健福祉課。昨春、電動車いすの重度の肢体不自由者が正職員で
配属されたのに続き、今春、ダウン症の和田亜弓さん(32)が非常勤職員として加
わった。使用済みの封筒を再利用するための紙を貼ったり、文書をシュレッダーにか
けたりといった仕事を任され、勤務は週4日、午前9時から午後4時まで。
 高知大付属特別支援学校に高等部まで通い、障害者の就労支援施設などで働いた。
「県のアビリンピックの接客部門で1位になったこともあります」と仕事への自信は
ばっちり。事務職は初めてだが、「こっちの方が好きかも」と不安は感じていない。
 「お母さんとの約束だから」と、毎朝始業の20分前には必ず出勤。「時間を守る
」「あいさつと、話をする時は人の目を見る」こともしっかり守り、どんな仕事も笑
顔でてきぱきとこなす。
 サポート役を務める同課の西森京子主任は「紙ごみの片付けや床の掃き掃除とか。
自分から仕事を見つけて、『楽しい、楽しい』とやってくれる。みんなの笑顔が確実
に増えました」。
 確かに同課の一角の雰囲気は、他の部署とは明らかに違う。誰もが声を掛け合い、
しかめっ面の硬い会話はそこにはない。
 県庁内に吹き始めた優しい風は、どこまで広がるだろう―。

  【写真説明】
入庁初日。同僚にパソコンの設定をしてもらいながら、仕事に掛かる吉岡邦広さん(
中央)。エルマーが優しく見守る

「話をするときは、人の目を見て」がモットーの和田亜弓さん=中央=の周りには自
然と笑顔の輪が(写真はいずれも県庁)



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